理想のASO対策~ASO 3.0〜
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今回はASO3.0という概念に触れながら、これから求められるASO対策(アプリストア最適化)について考察していきたいと思います。ASO 3.0はASO対策の上級編とも言える内容になっておりますので、もし「ASO対策の教科書」の他の内容をご覧になっていらっしゃらない方はそちらの内容もぜひご参照ください。
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ASO対策の発展:3つの段階について
まずは下図をご覧ください。
この図はMobile Growth Summit(MGS)という2020年に行われたイベントでStoremavenという、A/Bテストツールの会社とJam Cityというゲーム開発ディベロッパーの対談の中で使用されたスライドです。
※Storemavenはイスラエル発祥企業で現在はZingaという企業に買収されています。
その中でASO対策の発展として3つの段階が述べられています。
ASO 1.0 Keyword optimization(キーワード最適化)
ASO 2.0 Creative optimization(クリエイティブ最適化)
ASO 3.0 Going beyond optimization(最適化を超えるモノ)
ASO 1.0のキーワード最適化は、この中ではあくまで検索ランキング上昇に話が掛かっています。狭義のASOで、検索語が上がったか、下がったかという話です。「理想のiOS-ASO対策・テキスト作成」も触れた様なASO対策を行うことにより検索ランキングの上昇は元より、ストア全体のアプリに対する認知を上げていく行為です。
次にASO 2.0についてはストアのクリエイティブ、つまりアイコンやスクリーンショットの改善に話が及んでいます。これは後述しますが、CPP(カスタムプロダクトページ)等を用い、アプリのスクリーンショットなどでCVRを上昇させることを含んでいます。
最後にASO 3.0は上記の英文に基づけば、「アプリストアを総合的に理解することで、成長を促進」という意味になります。つまり、ASOを単なるキーワードレベルの話やクリエイティブレベルの話に留まらず、アプリストア自体をアプリマーケティングの核になるような理解を行い、アプリの成長に繋げるイメージになります。この部分に関して、私たちと考え方が非常に似ており、今後のASO対策の形と成りうると考えています。本記事の後半部分で、このASO 3.0の概念に触れていきたいと思います。
ASO 1.0についてはいわゆる一般的に解釈されているASO対策に近い概念ですので一旦ここでの説明は割愛させていただきます。ASO 2.0はお聞きになられた方も少ないかも知れません。ASO 3.0に触れる前に、まずASO 2.0について触れていきたいと思います。
ASO 2.0について
下記はApp Promotion Summitと呼ばれるアプリディベロッパーが集うイベントが2023年に行われた時のテーマになります。
このイベントには私たちもスピーカーとして参加していました。彼女は、AmazonのAudibleというアプリにおいてASOを担当しています。このテーマは「ASO IS DEAD(ASOは死んだ)」というキャッチーなタイトルで始まりますが、何が死んだかと言うと、先のASO 1.0の事を指しています。つまり、単なるキーワードの上昇に対してASOという概念だけを考えるのでなく、ASO 2.0、つまりストアクリエイティブ最適化にもASOを広げて考えていこうと言うものです。下記の様にCPP(カスタムプロダクトページ)やCSL(カスタムストアリスティング)が具体的な内容として提示されています。
(※ASO2.0の理解に関しては「理想のA/Bテストについて」を合わせてご参照ください。)
ASO 3.0について
ここからもう一度ASO 3.0に関して触れていきたいと思います。下図をご覧ください。
この図は、アプリストアを中心に次の要素が取り囲んでいることを表しています。
Search Ads(検索連動型広告)
UA(ユーザー獲得)
Reviews(レビュー)
External Events(外部イベント)
Offline Marketing(オフラインマーケティング)
Competitors Performance(競合のパフォーマンス)
Creative(クリエイティブ)
Product Updates(製品アップデート)
つまり、ここで彼らが言っているのは、アプリストア対策を中心にあらゆるマーケティングチャネルが相互作用しているということです。この意味において、単なるキーワードの上昇だけに留まらず、もっと総合的、全体的にアプリストアの位置付けやオーガニックのあり方を考えていこうと言うことです。
先の図は概念図になりますので、解像度を上げるために下記の様な例も提示されています。
この図は、ASO 3.0に必要になる、ビジネス上の質問です。
上記を見ると、「どのチャネルがオーガニックやコンバージョンにどの様に「影響」を与えているか」という質問がほとんどを占めています。単純に集客やマーケティングを掛けたコストや行為に対してどれだけリターンを得たかというような、従来の考え方ではないということがお分かり頂けるはずです。
各チャネルが、どの様にオーガニック獲得に影響を及ぼすかを理解しながらASOが存在するべきという考え方になっています。つまり各集客チャネルのストアへの「影響」や「インパクト」と言ったことがキーワードになります。
また、ASO 3.0は、いわゆる巷を賑わせているWEB 3.0の様に、それまでと全く異なる概念ではありません。つまり、ASO 3.0がASO 1.0やASO 2.0を無視して独立しているわけでなく、下図の様に一連の流れとして発展しています。ASO 3.0は、あくまでASO 1.0や2.0の手法を内包しています。
なぜASO 3.0が必要なのか
ではなぜASO対策3.0が必要になるのでしょうか。先のMobile Growth Summitの中では明示的に触れられていませんが、今であれば高騰する広告費への対応、というのが最も理解しやすいかも知れません。
IDFA規制後、広告費は高騰し、アプリマーケティングがより複雑化しています。更にGoogleに関しても、今後プライバシーサンドボックスが拡張され、IDFA規制と同様の流れが起こると言われています。
広告費が高騰する中で必要なアプリマーケティング手法は、従来通りの広告費投資に対する費用対効果を1:1で評価する手法では難しくなってきています。例えば、facebook広告に対して100万円の広告費を用いて1,000件のアプリインストールを獲得したなどがその例です。つまり広告費の間接的な価値を無視して、直接的な価値のみを計算する手法です。この従来通りの手法で費用対効果を評価する場合、広告費が高騰してくるとマーケティングに限界がすぐに訪れてしまいます。そこで、ASO 3.0の概念にあるような、広告費を使用したことによる「影響」を考慮することが非常に重要になってきます。例えば、先ほどのビジネス上の質問であった様な、広告がどの様にオーガニックユーザーに影響しているかがその一例になります。
そのため、先の様な「影響」に着目し、マーケティング自体の底上げが必要だと私たちは考えています。
(※こちらに関しては「私たちが解決する課題と未来について」もご参照頂けますと幸いです。)
そのために必要なことは、ストアと広告、ストアとオフライン施策など企業内の部門間連携がとても重要になると私たちは考えています。独立した部門が独立したKPIを追っていては横断的な関連性の把握が困難だからです。この試みは当然簡単なモノではありませんが、このサポートも私たちが行わさせて頂いていることの一つです。
ASO 3.0の具体例
最後にASO3.0の事例として、先日私たちが公開した下図をご提示したいと思います。この図は、上述された「Search Ads」とアプリストアの「影響」や「関係性」に着目し、私たちが独自に作り上げたモデルになります。
この詳細に関してはこちらの「理想のアプリマーケティング戦略」のページでも詳しく説明しています。上記は一例ですが、私たちが提供するサービスはASO 3.0の様なコンセプトにも対応できる様に設計されており、今後も様々な機能やサービスを拡充予定です。
まとめ
また、この記事はASO対策という概念を超えて、アプリディベロッパーの方々が次のマーケティングステージへと飛躍して頂けることを意図して記載しています。日本と海外のアプリマーケティング事情を比較すると、ASO 2.0や3.0という聞き慣れない言葉などからお分かり頂ける様に、アプリマーケティングの深度や競争力という点では遅れを取っているとみて良いかも知れません。
そのためにも国内の各業界トップディベロッパーをはじめ、多くのディベロッパーの皆様がマーケティングレベルを上げていく役割の一旦を担えればと私たちは考えています。
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