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広告効果を計測しよう【入門編】

いつもASO対策の教科書をご覧いただき、誠にありがとうございます!
今回は広告効果の計測【入門編】と題しまして、アプリマーケティングに必要な計測についてお伝えしていきたいと思います。

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MMP(Mobile Measurement Partner)とは

まず広告計測ツール(Mobile Measurement Partner/通称MMP)の話から入りたいと思います。この分野は年々情報がアップデートされていて複雑になりつつあるので敬遠する人も多いと思うのですが、アプリマーケティングを理解するためには「計測する」という点を正しく理解しておくことがとても大切になるので、ここはぜひ頑張っていただきたいと思います。

MMP(Mobile Measurement Partner)とは

MMPはMobile Measurement Partnerの略です。そのまま直訳すると「モバイル計測パートナー」になるんですが、どのメディアがどれくらい広告効果があったかを可視化するツールでMMP SDKとも呼ばれます。

日本国内では通称SDKと呼ばれることが多いです。つまりMMPと呼ばれていますが、人によってはSDKと呼ぶ人もいて、特に日本国内では、このSDKと呼んだらMMPのことを指す場合がとても多く、感覚値ですが9割くらいはこの呼び方をすると思われます。
ここでのSDKという言葉は「本当は必要ですが、一から開発すると手間が掛かるため、パッケージになっているもの全般を指す」言葉として使われています。つまり、広告効果を計測するツールは作るのが大変、そこで自分では作らずにパッケージを他のどこかから買ってきて、それをアプリの中に入れ込む。このパッケージの事を通常SDKと呼びます。

ちなみにこのSDKという言葉は、ソフトウェア開発キット (Software Development Kit) の略称とされていて一般用語になります。特定の何かを示すのではなく、また広告計測ツールのことを指すのでもないので知識として一緒に把握しておいていただけると幸いです。

MMPの画面イメージ例

こちらがMMPの画面イメージ例になります。(AppsFlyerというMMPの画面になります)
アドネットワークなど色々なチャネルを集約しデータ解析するツールになっています。

MMP画面イメージ

一番上のイメージは、全体の概要ページで、大体どれぐらい広告費を使ってるのか、どれぐらいインストールされているのかを一瞥して把握できる様になっています。

その下のイメージは、コホートという画面名称で呼ばれます。おおよそ何日でどれくらいのユーザーが残ってくれるのかを主に把握します。例えば1日目は平均で何%ユーザーがログインし、2日目は平均で何%ログインし、3回目は平均で何%ログインしたか、という情報を日を追うごとに全部可視化しています。

ちなみにアプリの世界では1ヶ月経つと、平均で約90%程がアンインストールすると言われています。例えばこの画面が30日ぐらいまで続いていくと、10%ぐらいのユーザーが残っているような表示に移ってくようなイメージになります。このようなアプリの詳細な情報を調べるためには、一般的にMMPを利用しながら調べていきます。

なぜMMPが必要なのか?

なぜMMPが必要なのかを説明していきます。一言でお伝えすると「MMPのない時代とある時代が全く違うものだから」という点に集約されます。下図をご覧ください。

なぜMMPが必要なのか?

左図MMPの無い時代は、アプリ広告を広告主、マーケターなどが買い付け、アプリに広告を出稿したい広告主がいた時に、アプリの広告担当者が、これはGoogle、これはFacebook、これはironSource、これはMOLOCO、そしてこれはLINEという様に社内のマーケターが広告1つずつを個別に把握/管理しなければなりませんでした。また同じユーザーがGoogleからもMetaからも流入した場合のように、ユーザー重複が問題として発生していました。この結果、個別の広告効果が把握できない状態になっていました。

この様な問題は、2007年のiPhoneアプリが登場したときから、大体2010、11年ぐらいまでこの状況が続きました。その後MMP誕生後の時代はMMPのおかげで一元管理ができ、広告別の効果分析ができるようになって、今私たちが実際におこなっているような広告別エンゲージメント(*)分析ができるように変わることになります。

(*エンゲージメント:アプリへの愛着度合いのこと。アプリインストール、リテンション、課金、継続課金してそのアプリのファンになるまでの一連の活動全般を指す)

このように複数ある広告効果を正しく把握できて、且つ一元管理できるような役割としてMMPは時代の流れの中で登場することになりました。

MMP(SDK)広告効果測定ツール

それではより具体的にMMP(SDK)利用までの流れを1つ1つ見ていきたいと思います。

MMP(SDK)広告効果測定ツール

AppsFlyerというMMP(SDK)を例にご覧いただきたいと思います。モバイルアプリにMMP(SDK)を組み込んだ状態で広告を配信します。広告を配信することでどの広告から来たのかがMMP(SDK)のおかげで分かる流れになっています。

実際にはアプリをインストールした人がどういう動きをしてるのかというのが広告別に分かります。どの広告からどれほどインストールされたかを、アトリビューションと言います。(これは後ほど詳しくご説明いたします)。この情報を集約し広告効果やアプリのエンゲージメントデータ分析を行っていきます。

文字ベースに落とすと、広告計測までの流れは以下のようになります。
①広告閲覧
②広告クリック
③ストアに遷移しアプリダウンロード
④アプリインストール発生(アプリ起動)
⑤アプリ内イベントが発生
⑥アンインストール
⑦再インストール

アプリ内イベントとは、エンゲージメントに当たるもの全てと理解していただけると良いかと思います。例えば、課金発生有無、課金の回数、その金額、ログインしている回数や日時、申し込みなど、エンゲージメントに当たるものの指標全てをアプリ内イベントと言います。

MMP(SDK)を初めて知る方の為に説明しておきたいのですが、実はアプリがインストールされただけでは、MMPはインストールされたかどうかを判別できないという仕様になっています。
図表下部「広告計測の流れ」をご覧ください。青色部分がストアの守備領域黒色部分がMMPの守備領域なのですが、アプリをダウンロードしているのはストアの守備領域になりMMPは何が起こってるかわかりません。言い換えるとMMPはダウンロード数はわからないです。一方でAppleはAppleの管理画面で見たらダウンロード数がわかりますし、GoogleもGoogleの管理画面で見たらダウンロード数がわかりますが、逆にそれ以外の情報(MMPの守備領域の情報)は基本的に分かりません。

ここで初回起動という言葉にも触れておきたいと思います。アプリのマーケティングでは初回起動という言葉が頻繁に使われます。アプリの初回起動について問われるのはアプリが端末にインストールされているだけではなくて、この初回起動が行われないとそもそも数字がMMP側では把握ができない、つまり今回で言うとAppsFlyer側では必要な情報が取得できないという側面があることをご理解いただけますと幸いです。

アトリビューションについて

先ほどMMP(SDK)利用までの流れの中で触れましたが、アトリビューションについてご説明していきたいと思います。

アトリビューションは日頃聞き慣れない言葉かもしれないですが、アプリマーケティングではとても良く使われる言葉です。

アトリビューションという単語は元は英語で、そのまま翻訳すると「帰属、起因」という意味になり、この意味のまま覚えてしまうと全くわからない単語になってしまいますので今回私たち風に別の言葉に置き換えてご説明したいと思います。

アトリビューションは「◯◯のおかげ」というように捉えていただけるとご理解いただきやすいと思います。言い換えるとどのメディアのおかげでそのインストールが発生してるのかを表す言葉になります。

アトリビューション(どの広告メディア経由でインストールされたのか?)

上図をご覧ください。
例えば『あるアプリをインストールした人が一番初めにフィード投稿/ツイッターを見て、次に動画広告/APPLOVINを見て、さらにその次に検索結果/Google広告を見て、最後にフィード投稿/Facebook広告でインストールしました』というようなときに、こんな感じの図をイメージしていただくと分かりやすいと思います。
この時に「誰のおかげで、ラストタッチ(ゴール)が発生したのか」という話だとイメージしてください。
この「誰のおかげで」という部分を全部可視化して明らかにしたり、この人のおかげですよ、と審判の役割をするのがMMPだとご理解いただくと分かりやすいと思います。

その上で、アトリビューションというのは基本的に図の「ファーストタッチ〜ラストタッチまで各メディアの貢献度がどれぐらいあったのか」という話に繋がりますが、ほとんどのMMPはラストクリックという概念に基づいて貢献度を決めています。この図の通りに「一番最後にゴールをした人(図のFacebook)が一番偉くて最も貢献していますよ」という話になります。

また、審判の役割として貢献度が分かるので広告費や売り上げをどのようにしたら上げられるのかの広告分析にもMMPは使われているという点も大切なポイントになりますので併せてご理解ください。

主要MMP(SDK)一覧

最後に主要MMP(SDK)一覧について見ていきたいと思います。主なMMPのプレイヤーについてはこの表で示された企業だとお考えいただいて相違ないかと思います。

主要MMP(SDK)一覧

主な点をみていきますと、世界シェアの約70%がAppsFlyer、次点でAdjustで約20%と言われています。国内ではAppsflyerとAdjustがメインのプレイヤーとなっています。FirebaseはGoogleが母体でGoogle広告の測定に優れているとお考えください。その他singular、KOCHAVA、branchは海外が主流のMMPです。

連携先(Media Integrations)や得意な測定領域がプレイヤーによって異なりますのでその点を考慮いただきながら、ぜひMMPを有効活用して効果的なアプリマーケティングにチャレンジしていただけると大変嬉しく思います。



以上、広告効果の計測【入門編】はいかがだったでしょうか。
今回のテーマは初心者のマーケターの方にとってはとっつきにくい部分もあったのではないかと感じています。
今後本テーマについては一層深掘りを企画していきますが、読者のみなさまからのご要望もぜひnoteコメント欄にお気軽にお寄せ下さい。
編集部スタッフにて記事企画の参考にさせていただけますと大変幸いです。
それでは今回のまとめに入らせていただきます!

まとめ

✅Mobile Measurement Partner(通称MMP)は、どのメディアがどれくらい広告効果があったかを可視化する測定ツールである
✅MMPでは複数ある広告を一元管理しながら効果を正しく把握でき、エンゲージ分析が可能になる
✅MMPはアプリがインストールされただけでは、MMPはインストールされたかどうかを判別できない(初回起動が必要)
✅アトリビューションは「◯◯のおかげ」と捉え、どのメディア経由でインストールがされたか判定する審判の役割である
✅主要MMPとしてAppsFlyer、Adjust、Firebaseの3つをおさえておく

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最後までお読みいただきありがとうございました。
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ASO対策の教科書編集部

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