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アプリにおける品質スコア決定の仕組み

いつもASO対策の教科書をご覧いただき、誠にありがとうございます!

今回はアプリにおける品質スコア決定の仕組みについてお伝えしていきたいと思います!
具体的には大きく分けて二つのテーマがあります。

❶Google広告の仕組み
❷ASA(Apple Search Ads)にとっての品質スコア相当
❸Google PlayとGoogle Adsの品質スコア

それでは早速1つめのテーマに入っていきたいと思います。

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❶Google広告の仕組み

Google広告の仕組みを理解する時に分かりやすいのがスポンサーの部分になります。下図右手をご覧ください。

広告ランクの決定について

Google Playの実際の画面にスポンサーという箇所があります。今上から「ロイヤルマッチ」「マッチファクトリー」「ハリー・ポッター」と三つ並んでいますが、この時になぜロイヤルマッチが一番上にあるのか、マッチファクトリーが2番目にあるのか、ハリー・ポッターが3番目にあるのかという点が不思議に感じたことはありませんか?

これは広告ランクによって決定され、広告ランクは品質スコアと入札価格に基づいています。スポンサー広告は有料枠になり、オーガニック検索(自然検索)結果とは異なります。この有料広告枠の順番を決めている仕組み(広告ランク)を理解することで、広告の順位がどのように決まるかが明確になります。

次に図の左手をご覧ください。広告ランクは広告の掲載順位を決定しますが、それは単純な金額だけではありません。広告ランクは、品質スコアと入札価格の相乗効果で決まります。品質スコアは広告の関連性やクオリティを表し、ユーザーにとって有益な広告を選択するための指標です。

具体的には、広告ランクは品質スコアと入札価格の積で計算されます。(図の例と併せてご覧ください)

A社:品質スコア7 x 入札価格 100円 = 広告ランク700・・・掲載は3番目になります
B社:品質スコア10 x 入札価格 250円 = 広告ランク2500・・・掲載は1番目になります
C社:品質スコア3 x 入札価格 500円 = 広告ランク1500・・・掲載は2番目になります

入札価格というのは広告運用するとき1つのキーワードについて、例えば「パズル」であれば「パズル」に1クリックあたり幾ら払いますかという金額を入札するという形になります。

例に戻りますが、C社のように、入札価格が高い場合でも品質スコアが低ければ上位表示されない可能性があります。これは、広告がユーザーの検索クエリやコンテンツと関連性があるかどうかを考慮しているからです。
品質スコアは全部で1-10迄10段階あり、広告のクリック率、広告の関連性、ランディングページの品質などに基づいて計算されます。ここでは広告がユーザーのニーズに適合しているかどうかが重要な要素となります。

お読みいただいてお分かりいただけたかもしれませんが、Google広告を効果的に活用するには、単に予算を増やすだけでなく、広告の品質と関連性を高めることが不可欠です。その上で予算には限りがあるので、品質スコアを向上させることが一層重要になり、広告のターゲティングやクリエイティブ、ランディングページの最適化など、様々な施策が必要となります。

品質スコア〜Google 広告のweb配信にもアプリ配信にも存在〜

品質スコアについて掘り下げて行きたいと思います。下図をご覧ください。

品質スコアについて

実際にスコアを決定する要因は3点あります。「推定クリック率」「キーワードと広告文の関連性」「ランディングページの利便性」になります。

図中右手が実際の画面になりますが、具体的には品質スコアは8,10,8,7.8…などとなり、推定クリック率は平均より上と平均的など、ランディングページの利便性も平均より上など、広告文の関連度は平均より上など、という表現となりまして、キーワードごとに全部並んで表示されています。

①推定クリック率とは

推定クリック率について触れていきます。下図をご覧ください。

推定クリック率について

推定クリック率とは、指定したキーワードが広告のクリックにどれだけ繋がるかを予測する指標です。これは、キーワードの過去の掲載結果をもとに、Googleが広告の掲載順位に基づいて算出します。例えば、「YouTube」と検索したユーザーが「YouTube」に関連する広告を頻繁にクリックする場合、その広告の品質スコアは高く評価される、というようなことが起こります。

②キーワードと広告文の関連性とは

次はキーワードと広告文の関連性になります。

キーワードと広告文の関連性について

広告のキーワードがユーザーの検索クエリとどれだけ一致しているかを評価します。関連性が高いほど、広告が表示される可能性が高くなり、品質スコアも向上します。

例えば、パズルというキーワードを検索したらパズルというテキストがちゃんと広告文の中に入っていたり、パズルに関連するキーワードがメタデータで入っているかなどを指します。同様にyoutubeであれば、youtubeというテキストが入っていることと、関連するVideoという言葉が入っていることを指しています。

Google広告の場合はこう言ったことを決めて運用を行うため、関連性は決められる要素になり、アプリでもWebでも存在しています。

③ランディングページの利便性とは

3つ目がランディングページの利便性になります。下図をご覧ください。

ランディングページの利便性について

ランディングページの利便性は、品質スコアを決定する重要な要素になっており、以下の基準で評価されます。

1.情報の有用性と関連性: ランディングページ上の情報がユーザーの検索意図にどれだけ合致しているかを評価します。例えば、ユーザーが「パズルゲーム」と検索した場合、そのランディングページにパズルゲームに関する情報が豊富に含まれていることが求められます。

2.ユーザーの移動のしやすさ: ランディングページ内でのナビゲーションがスムーズであることを指します。ユーザーが簡単に必要な情報にアクセスできる構造が重要です。

3.ページ上のリンクの数: 過剰なリンクがないか、リンクが適切に配置されているかを評価します。リンクが多すぎるとユーザーの利便性が低下するため、適度な数のリンクが求められます。

4.ユーザーの期待する内容: 広告クリエイティブに対してユーザーが期待する内容がランディングページに反映されているかどうかを評価します。

これらの要素をまとめると、ランディングページの利便性とは、プロダクトページの関連性と考えることができます。特にアプリの場合、プロダクトページの情報が検索されたキーワードとどれだけ一致しているかが重要です。

図中右手をご覧ください。例としてGoogleアプリを掲載していますが、Googleと検索されたらGoogleという文字がタイトルに入っているのか、開発者情報にも文字が入ってるのか、更に検索エンジンというGoogleに関係ある情報が入っているのか、などが見て取れると思います。

このように上記1-4に通ずる情報が説明文の中に十分に記載されている事が、ランディングページの利便性だと考えられます。

Google品質スコア~ASO対策で関連性を高めることと同義~

下図にここまでお伝えしてきました内容について一覧にまとめました。

Google品質スコア ≒ ASO対策で関連性を高めること

ご覧いただくとよく分かるのですが、WEBの推定クリック率というのは、アプリの推定クリック率とほぼ一緒の概念となり、広告運用を行う事で品質スコアを高めていけます。

WEBのキーワードと広告文の関連性というのは、アプリのキーワードと広告文の関連性ということになり、ASO対策で変更が可能な領域になります。

更にWEBのランディングページの利便性≒プロダクトページの関連性と考える事ができ、こちらもASO対策で変更可能な領域になります。

つまるところ、クリック率を上げてASO対策を実施することで品質スコアはGoogleによると高くなるという事が言えると思います。



❷ASA(Apple Search Ads)にとっての品質スコア相当

ここからはASA(Apple Search Ads)について触れていきたいと思います。ASAにも品質スコア相当のアルゴリズムが存在しますが、Appleが公式に「品質スコア」として言及しているわけではありません。
前述したように、実際のクリック単価(CPC)が安くなり、広告の表示回数が増える効果があるため、事実上の品質スコア相当が存在していると考えられています。下図をご覧ください。

ASA(Apple Search Ads)にとっての品質スコア相当

ASAの品質スコアはそのまま英訳するとクオリティスコアと言うと思うんですが、クオリティスコアという用語はあまり使われておらず、海外では「レレバンススコア(Relevance score)」という用語がよく使われます。レレバンススコアに関する情報は、Apple Search Adsの品質スコアに相当する情報として参考になると考えられています。

図中に×マークを記載させていただいた点についてご説明していきます。

ASAではGoogle広告のように、推定クリック率(Expected Click-Through Rate, eCTR)は明示的に存在しないため、推定クリック率の概念がASAにあるかどうか自体が不明です。本記事記載時点では確認されていないため、まずこの点がGoogle広告と異なります。

次にGoogle広告ではキーワードと広告文の関連性が品質スコアに影響しますが、Apple Search Adsでは広告文そのものが存在しないため、キーワードと広告の関連性もないだろうと予測できます。

唯一あるのはプロダクトページの関連性になります。この内容について次の項目で触れていきます。

プロダクトページの関連性

プロダクトページの関連性について

上図をご覧ください。具体的にどういうことかというと、プロダクトページの関連性は、ランディングページの利便性でも触れた部分になりますが、Googleで検索したときにタイトルとか開発者名(黄色で囲っている部分)、説明文の中にちゃんと関連性の高い言葉(検索広告など)が入っていたりすると、関連性が高くなるという内容でしたが、この部分においてASAにおいても品質スコア相当としてこの内容が存在していると私たちは考えています。

1つ目の根拠は、Appleの公式ホームページです。

Apple Search Adsでは特定の検索クエリに対するアプリケーションと関連性をアプリケーションのタイトル、説明キーワードなどの考慮事項に基づいて評価しているため、これらの作成にあたっては十分な検討が必要です

出典:Apple

という風に記載されているからです。

つまり、特定のクエリ、例えば「TikTok」という検索クエリに対して、アプリのタイトルやタブタイトル、説明文等に「TikTok」や関連するキーワードが適切に含まれている場合、関連性が高いと評価しますよ、とApple公式に記載されています。
このことから、品質スコア相当の概念やアルゴリズムはAppleにも存在していると言えると思います。

このように、アプリのメタデータを適切に設定し、最適化することが非常に重要であることがわかります。したがって、プロダクトページの関連性を高めるための取り組みを行うべきと言えます。

さらに、関連性の高い広告を表示することは、ユーザーエクスペリエンスの向上にもつながり、結果としてアプリのインストール数や利用率の向上にも寄与します。このため、Apple Search Adsの最適化はアプリの成功に直結する重要な戦略となります。

2つ目の根拠は、私たち自身の実証実験です。下記データをご確認ください。

ASO対策前後のASAのCPC推奨入札単価の推移~実例(漫画アプリ)~

あるアプリのASO対策前後のASAのCPCの結果です。ASO対策は先の「プロダクトページの関連性」を改善する行為と同等の事を行います。ASO対策の結果、施策前はCPCの推奨入札単価が2,000円前後だったのに対して、施策後は推奨入札単価が500円ほどになっています。

詳しくは別テーマの「理想のアプリマーケティング戦略」にてお伝えしておりますが、関連性やストアのキーワードを最適化することで最終的にはASAの入札単価を下げることが実現できます。これは、先にお伝えしたレレバンススコアが関係していると考えています。



❸Google PlayとGoogle Adsの品質スコア

最後にGoogle PlayとGoogle Adsにおける品質スコアについてご説明します。

下記の図は、現在のGoogle Adsが「AdWords(アドワーズ)」という名称だった2016年当時の広告運用データです。AdWordsという名称の時代は、今のGoogle Ads同様に検索・GDN・Youtubeを機械学習で運用するのではなく、キーワードを一つづつ手動で入稿していました。この時代には、今は不可能になってしまった入稿キーワード別の品質スコアが可視化されていました。このデータを用い、ASO対策前後での品質スコアの変遷を確認していきましょう。

まず実データから見ていきます。下記のデータはある非ゲームアプリをAdWordsで広告運用し、Google PlayストアのASO対策を行った前後でのデータになります。ご覧頂くとお分かりになる様に、主要なKPIが全て改善されています。

品質スコアが改善された為、全体のパフォーマンスも同様に改善されました。ほとんど同じ広告費を用いているにも関わらず、CPI、平均クリック単価、平均掲載順位など至る所にASOの効果が波及している事がわかります。特に、CPCが低くなっているにも関わらず、掲載順位が上がっていることにも注目です。クリック率が上昇しているのは、ASO対策によってタイトルの変更が適切に行われ、より広告文言自体がユーザーの目を引く様になった為です。

また、今回のデータは予算が200万円/月前後の検証データですが、もっと予算の大きいアプリであればあるほど、金額の絶対値のインパクトは大きくなり、ASO対策が品質スコア、ひいてはCPIや予算の総額に与える影響のリターンも相対的に大きくなります。

次に実際の品質スコアを見てみましょう。運用で使用していた、全キーワードの品質スコアがどの様にASO対策前後で変化したかを抽出したデータです。実証実験を行うため、ASO対策以外の差分は無いように配慮されたデータです。

上記の図の特徴は、ASO対策前では品質スコア「6」が全体の11%あったのですが、それがほぼ消え、品質スコア「8」が9%も増えています。このことにより、全体の品質スコアの平均が上昇しました。結果的に、上記でご説明した「ASO対策によりCPCが下がっているのに掲載順位が高くなった」という現象が起きたと言えます。

このASO対策と品質スコアの関係性は現在でも継続しており、CPIやKPIがASO実施前後で大きく改善したというデータは弊社内に実績として数多く保持しています。

以上、Google AdsとGoogle Playの品質スコアの関係性のデータでした。




今回は「アプリにおける品質スコア決定の仕組み」というテーマについて進めてきましたがいかがだったでしょうか。
本記事についてご不明な点などございましたらお気軽に編集部までお問い合わせください!

また無料のASO勉強会なども随時企画しておりますので、ご興味をお持ちの方は弊社ホームページCONTACTよりご連絡いただけますと大変幸いです!

それでは今回のまとめに入らせていただきます!

まとめ

✅品質スコアを決定する要因は「推定クリック率」「キーワードと広告文の関連性」「ランディングページの利便性」の3点である
✅クリック率を上げてASO対策を実施することで品質スコアはGoogleによると高くなるという事が言える
✅品質スコア相当の概念やアルゴリズムはAppleにも存在していると言える
✅予算の大きいアプリであればあるほど、ASO対策が品質スコア、ひいてはCPIや予算の総額に与える影響のリターンも相対的に大きくなる

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最後までお読みいただきありがとうございました。
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ASO対策の教科書編集部

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