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アプリマーケティングの本質

いつもご購読いただき、誠にありがとうございます!
今回はアプリマーケティングの本質について私たちの考えを整理していきたいと思います。

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本質の意味

最初に本質という言葉の意味から考えてみたいと思います。辞書には、「そのものとして欠くことができない、最も大事な根本の性質・要素」と書かれています。

そのものとして欠くことができない、最も大事な根本の性質・要素。

Oxford Languages

アプリマーケティングに焦点を絞って考えてみると、アプリマーケティングにおいて一番大事な部分は何かという話のことだと解釈しています。
今回はこの大事な本質部分についてイメージを掴んでいただければ大変幸いです。

一般的なマーケティングの定義

次は一般的なマーケティングの定義について触れてみたいと思います。

(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。

日本マーケティング協会(2024)

マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。

米国マーケティング協会(2007)

一例として、日本マーケティング協会の定義では、「(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。」とあります。

私たちはモバイルアプリ業界にiPhoneが生まれたときから約17年程おりますが、この定義が今だによく分かりません。
おそらくですが皆さんもこの定義を読んだときに似たような感想になるのではないでしょうか。

同様に、米国マーケティング協会の定義、「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を想像・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである」も非常に難解なのではないかと感じています。

そもそもどうしてこれら定義がこのように長く、マーケティングという言葉の意味を分かりづらくしてしまっているのかを思い返してみると《網羅的にマーケティングを捉えようとしている側面を抱えているため、結果的に受け取り側の事情は一切無視された状態で言葉として出てきてしまっているのてはないか》と考えています。

先の米国マーケティング協会の定義の一節でも、マーケティングとは「顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値ある」という表現となっていて、やはり網羅的に考えようとしているように思えます。

あらためてこれら日米の定義を知った上で、私たちなりの定義というのを考えてみることにしました。

アプリマーケティングの本質的な定義

アプリマーケティングの本質的な定義を私たちなりに言語化したものが次の文章です。

顧客候補がアプリを好きになる迄のプロセス全て

お読みいただくと、だいぶ分かりやすくなったなという感じがするのではないでしょうか。

言い換えれば、お客さんやお客さんにこれからなってくれる人がアプリを好きになるまでの過程、それを全部面倒見ますよというのが、私たちが考えるアプリマーケティングの定義です。
本質的にはお客さんがアプリ(商品)を好きになってくれればいい。一般的なマーケティングの場合の定義は何かというと、ある特定の商品を好きになるまでのプロセスというようになろうかと思います。

このプロセスについて、はじめからアプリのマーケティングの話をするよりも、ここから見ていった方が分かるんじゃないかなというものがあります。
それは人が人を好きになるまでの道のりです。

人を好きになるまでの道のり

人が人を好きになるまでの道のりについてご説明したいと思います。
下記青色の四角で囲まれた部分(相手を知る〜)にフォーカスしていただきご覧ください。

人を好きになるまでの道のり

まず《相手を知る》ということが起こらないと、そもそも相手を好きになることが出来ないので、これを認知/Attentionと呼ぶことにします。
相手の良いところじゃなくて悪いところが分かって、相手のことをいきなり好きになるというのはなかなか起こりづらいと思うので、《相手の良いところが分かる》ということを興味/Interestという言葉に置き換えます。
その後《一緒に出かけたり、デート》したりします。それって何なのかといったら相手のことをもっと知りたいから遊びに行ったりデートに行ったりしながら更に知り合っていきます。そういう欲求/Desireが生まれるというところがこの段階です。
一緒に出かけたりデートに行くと、《記憶に残る》という場面が発生します。この記億に残ることをMemoryと置き換えて、この一連の部分を認知・感情という言葉を充てています。ここまで来ると、日頃からメッセージをやり取りしていたり、記憶に残って夜とか寝る前などにその人のことを考え始めたりします。
そうなると、《告白したり付き合ったり》とかというのが次のアクションとして出てきます。結果として行動/Actionに繋がっていきます。現実はケースバイケースで異なる場合もあると思いますが、多くの場合この先告白・付き合うというのはゴールではなく、ある種スタートみたいなところとなっていきます。

次に付き合った後はこの下段の青色の四角で囲まれた部分(深く知る〜)に進んでいきます。付き合った後、人を《深く知って》(活性化/Activation)いくと、《心が離れたり安定したり》(修復/Re-engagement)、時として喧嘩なども起きると思います。それでも《関係継続》(継続/Retention)をしていくと、《愛情が強固に》(Love/愛情)なっていきます。基本的にはこの4つの流れを活性化・継続・安定と捉えることができ、これらは連続して生まれていきます。深く知り、心が離れたり安定したりする中で、色々な事柄が構築されていくということだと思います。その後これで終わりではなくて、愛情が一層強固になって終わる場合もありますし、現実的にはそこで《別れる場合》(別れ/Break up)や一旦距離を置こうみたいな話もあったりします。
別れてしまったらそのままもう付き合うことはないパターンもあるし、《再びよりを戻す場合も》(再会/Re-attribution)あります。別れ再会というのは、人を好きになる過程で一つのフェーズとして発生していきます。

いかがでしょうか。漠然としていたプロセスがだいぶイメージしやすくなってきたんじゃないかなと思います。
マーケティングはこういった流れをそれぞれテコ入れしていくという仕事なんです、というのが私たちが最も伝えたいことです。

アプリマーケティングに置き換えると?

アプリマーケティングに置き換えた場合の流れについてご説明させていただきます。
下記資料をご覧ください。

アプリマーケティングに置き換えると?

青色の四角で囲まれた部分(認知型メディア〜)が変わっていきます。
《認知型メディア》は、例えばアプリをダウンロードするとき、実はテレビCMで知ってるとかYouTubeで見たよみたいな場面があって、それが認知という段階になります。
次に《獲得型メディア》というものがあります。SNS、Ad networkなどを介して何度も露出したり話題にすることで興味を喚起して欲求を発生させる段階があります。
その後記憶に残るフェーズでは、《検索・情報収集》となり、能動的に調べたりしながら、より深く知っていきます。
そうして記憶に残ると、その後《アプリダウンロード》が発生、という流れになっていきます。先ほどまでの人を好きになるまでの道のりの「付き合うまでの過程」と全部やってることは一緒です。全部やってることは一緒だけど、それぞれのフェーズの名前が「相手を知る」というところが「認知方メディア」に、「一緒に出かける(デート)」というところが「獲得型メディア」に、「記憶に残る」というところが「検索」に、「告白&付き合う」というところが「アプリダウンロード」になっていきます。

ここでAIDMAという単語が出てきます。これはアイドマと読みますが、一連の流れのアテンションからアクションまでの頭文字(A,I,D,M,A)を取っていて、立派なマーケティング用語になっています。
AIDMAの法則とかってよく言われますけれども、それは何かというと人が付き合うまでのプロセスなんだなと覚えていただけると幸いです。

次に下段の青色の四角で囲まれた部分(申し込み・課金〜)ですが、「深く知る」というところが《申し込み・課金》、「心が離れたり安定したり」というところが《リターゲティング広告》というものでそれが代表されます。リターゲティング広告というのは簡単に説明すると、アプリから離れてしまった人をターゲットにして、もう1回呼び戻すという広告です。
「関係継続」というところが《リテンション》と呼ばれるものになって、これも既に立派なマーケティング用語になっています。関係継続を別のマーケティング用語で置き換えると、リピート率やまた滞在時間、即ちどれだけそのアプリに時間を使ってくれているのかとなり、さらに関連する言葉でDAUやMAUといった用語があります。このDAUは、もしかしたら聞いたことがない人もいるかもしれません。
DAUとはデイリーアクティブユーザーの略で、1日に1回ログインするか、アプリを1回起動すると、DAUが1としてカウントされます。2日連続で起動すると、DAUが例えば1月1日と1月2日に1ずつカウントされます。
MAUというのはその月間バージョンで、1か月としてカウントされるものです。マンスリーアクティブユーザーの略です。MAUはその1ヶ月の間に1回でもログインしたら、1としてカウントされます。

これらを使ってどれだけ継続してくれているのかを、アプリの指標として企業側は考えていきます。ゲームで例えると、例えばゲームの課金をたくさんするユーザーのゾーンが安定です。ひたすら《継続してログインし、課金してくれる人》、それはファンと呼んでもいいでしょう。これこそが、「愛情」が強固になっていると言えるところです。
その後、別れる場合もありますが、この「別れ」というのは、アプリで言うと《アンインストール率》に当たります。アンインストールというのはそのアプリを端末から削除することです。これは離脱率とも呼ばれます。他の数字とは異なり、このアンインストール率だけは低い方が良いというのを覚えていただけると幸いです。
また1回アプリを削除したけれど、もう1回そのアプリを利用する状態を作るために、《リターゲティング広告》を用いていきます。
そして今ここでは覚えていただかなくても大丈夫ですが、1回削除したアプリをもう1回復活させることをリアトリビューション/Re-attributionと言います。

下段左手に赤字でEngagement(愛着)と記載ありますが、これもアプリのマーケティングでとてもよく使われる言葉です。しかし、エンゲージメントという言葉をちゃんと説明できる人は実はあまり居ないのではないかと思っています。そうなる理由として、非常に抽象的な言葉である、というのが背景としてあるのではないかと感じています。
どこからどこまで何を指すのかという話になった時を例に考えてみたいのですが、アプリのマーケターが顧客と話す中でアプリのエンゲージメントを高めなければならないという話がよく行われますが、この時エンゲージメントとは、図の赤枠点線で囲まれたもの全てを指します。
言い換えるなら「愛着」が発生しているとはどういう理由かということです。エンゲージメントという言葉自体は、日常的には執着という言葉で置き換えられることがありますが、アプリのマーケティングでは「愛着」というふうに覚えていただけると幸いです。
アプリへの愛着を図るためには、申し込みがあったり、課金があったり、暫くアプリから離れていた人がもう1回戻ってきたり、またDAUやMAU、滞在時間が多かったりするなど、さまざまに数字で表せるのですが、これらは全て愛着を表す数字となります。
そう考えていくと、何回も課金してくれることや、何回も申し込みしてくれることは、それはもう強固なファンであり、愛着が高いと言えると思います。アンインストール率も、低ければ低いほど愛着が高いことがご理解いただけると思います。
これらを組み合わせたものがエンゲージメント/Engagementと呼ばれるものとなります。



以上、お読みいただいたご感想はいかがでしたでしょうか。
「アプリマーケティングとは何か」と人から尋ねられたら、人を好きになるまでのプロセスなんだ、と自信を持ってご回答いただけると大変嬉しいです!
それでは今回のまとめに入らせていただきます。

まとめ

アプリマーケティングとは、
 顧客候補がアプリを好きになる迄のプロセス全て
 (人を好きになるまでのプロセス、と同じ)
 である
✅AIDMAの法則は人が付き合うまでのプロセスを
 可視化したもの
✅Engagement≒愛着である
 表す数字が愛着度を示し、良い数字になるほど
 愛着が高い強固なファンとなる

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