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アプリレビューのCVRへの影響

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今回はアプリストアにおけるレビューとレーティングのCVR(コンバージョン率)への影響を考察していきたいと思います。

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言葉の定義

まず初めに言葉の定義から始めたいと思います。

レーティングとは4.5などの累積の数値のことを指し、レビューとは一つ一つのその書き込み内容を指します。日本国内では、「レビュー」という言い方でレーティングとレビューが混じった使い方をする場合があるので、ここで言葉の定義を明確にしたいと思います。

また私たちの独自の言葉の定義として「トップレビュー」というものがあります。
これは、iOSで言う最初の6つのレビューを指し、Androidで言う最初の3つのレビューを指します。トップレビューは非常に重要な概念で、最もユーザーが目にするレビューの内容を指します。後述しますが、トップレビューの如何によってCVRが大きく変わってしまうためこの様な事を考えています。

レーティングCVRへの影響

これは既にStoreMavenという会社が調査を行っており、その結果を下記に記したいと思います。

ご覧いただくとお分かりになるように、レーティングが5の時と4の時を比べると、CVRが下がっています。これは、平均5をキープできるアプリが怪しい、もしくは、評価数が不十分という印象を与えるために、4のレーティングの方がCVRが高くなっていると言えます。

そして、★4の状態は、★3の状態に比べて約2倍ものCVRが異なるというデータが示されています。このことが意味するのは、広告費換算すると、レーティングが★3の時と★4の時では、同じユーザーを獲得するのに約2倍費用が必要だということです。ある会社のレーティングが4で年間広告費を約1億円を使用していたとすると、レーティングが★3の会社は約2億円のコストが同じパフォーマンスを出すのに必要になってしまう、という意味合いになります。それほどレーティングが★3か★4かということはかなり大きなインパクトに成りうると考えています。
また以前私たちが行った他の実証実験では、4.0と4.2のCVRの差が1.3倍ほど見られました。4.0よりも4.2の方がCVRが高くなる傾向があると言えます。しかし一方で、4.5が4.6になったとしてもその影響は大して変化しないというデータもあります。そのため、レーティングが4.2以上あると好ましい状態と考えています。

レビューのCVRへの影響

レビューも特に重要な影響をCVRに及ぼします。レビューとは先の定義の通り、一つ一つの書き込み部分の★とその書き込み内容を指します。特にレビューの中でも、下記の様な人の目に付きやすいレビューを「トップレビュー」と私たちは呼んでいます。

トップレビューはiOSの場合は最初の5つ、Androidの場合は最初の3つを指します。この数値がどれほど良い数字かにCVRが大きく左右されます。

下記の図はあるアプリのトップレビューの平均値の推移を示したものです。

iOSの最初に現れる5つのレビューのうち、平均が2.4から4.5まで改善した場合、全体のCVRは平均13%→平均28%ほど上昇しました。androidも同様に、トップレビューが1.9から4.2まで改善した場合、CTVR(※1)は平均6.7%→平均12.75%増加しました。この事例もレーティングと同様に、広告費換算で2倍変化し、事実上CPIが半額になります。
(※2)Androidはクリックでは前後比較が難しいため、ImpressionをベースにしたCTVRで比較しています。

更にトップレビューが全て★1と全て★5の時を比べた場合、最大7倍CVRが変化するという事例もあります。また、その2つのパターンでユーザーのアプリに対する課金率を比較した場合、最大で2倍差があると言う実証データもあります。

つまり、トップレビューが全て1のときと5の時では、最大14倍もの集客パフォーマンスが変わる可能性があるという事がお伝えできます。

これは考えてみれば当然ですが、仮に有名店でも、評価の著しく低いお店には行かず、行ったとしてもあまりお金は使う気は無い、という心理がそのまま反映されています。こちらも先と同様に広告費換算した場合、本来であればCPI1,000円で獲得できるユーザーをCPI14,000円投資して獲得しなければならない状態になってしまいます。

レーティングとレビューの改善方法

では上記の様にマーケティング上、大きな問題を孕むレーティングやトップレビューの改善はどのようにすれば実現できるのでしょうか。仮に今はレーティングやレビューに問題の無いアプリでも、本質的にどの様に好意的なレビューを数多く受け取ることができるのでしょうか。

また、ここで明記して置かなければならないのは、レビューの改善はとてもセンシティブな問題です。故意にコントロールすることはApp Store、Google Play共に固く禁止されています。場合によってはアプリがリジェクトされてしまう可能性もあります。
この事実を鑑みた上で、可能な限り世の中にあるサービス事例を用い、客観的見地に立ち、改善手法を考察してみたいと思います。

レビュー改善の前提知識

まず、前提知識として、以前Apptentive(現 Alchemer Mobile)というサービスを利用して行った私たちの実証実験例をご紹介します。私たち自身もアプリディベロッパー時代に体験した有効な手段です。
注意:Androidは現在でもこの方法を使用可能ですが、iOSでは現在ではレギュレーション上、使用できない方法になっていますので、それを踏まえた上で御覧ください。

まず、下記の図をご覧ください。

Apptentiveが提供していたサービスのステップとしては下記になります。

  1. このアプリに満足していますか?」というダイアログを出す

  2. はい」を選んだユーザーにはストアへの評価を促す

  3. いいえ」を選んだユーザーには、メッセージフォームを用意し改善メッセージを運営に送る

この簡単なステップでレビューの効果が大きく改善されます。ここで行っているのは、アプリに好意的なユーザーにだけレビューを書いてもらい、好意的ではないユーザーにフィードバックを求めることで、ネガティブなレビューを減らしています。この行為によって、ネガティブなレビューが減り、ポジティブなレビューが増え、結果的にレーティングもレビューも両方が改善していきます。

本質的にここで行っていることは、主にアプリのファン層にレビューを書いてもらう様に努めるということです。このシンプルな考え方を上記で達成しています。

一方で、ネガティブなレビューを書き込むユーザーとはどのようなユーザーでしょうか。実は、アプリを運営する側にとって、敵対する関係のユーザーを指すのではありません。彼らは、アプリを好きで愛情を持っているユーザーである場合が多いと、アプリ運営をした実績から私たちは考えています。わざわざレビューを通じてアプリの運営者へメッセージを送るユーザーなので、アプリへの愛着は一定に達していると言えます。無関心なユーザーより、よほどアプリの改善になる人たちの集まりであると言えます。そのネガティブな感情を持つユーザーに、詳細なフィードバックを受けることにより、アプリの本質的なアプリ内の問題解決にも繋がります。彼らの感情が高まったときに、受け皿となる場所がレビュー以外にも必要です。その意味で、上記のダイアログ・フローは有効だと考えています。

上記ダイアログ実験の実証結果

次の画像は実際に、ダイアログの前後の割合を比較したものです。

ご覧の様に、★5のレビューが圧倒的に割合の多くを占めたことがまず挙げられます。また、適切なダイアログを表示させただけで、ポジティブなレビューが増え、アプリのトップレビューやレーティングも同様に良い状態に変化しやすくなりました。

また、Apptentiveの様なサービスを使用しなくても、この様なダイアログを自社で開発・実装するのは、その他の開発行為に比べ容易だと考えています。このダイアログをAndroidに導入することでネガティブなレビューを減らしながら、ポジティブなレビューを獲得することができます。

●Androidにおける改善方法


またこの手法以外にもAndroidで改善できる一般的な手法は下記になります。

In App Review APIを使用した改善

上記の様にレビューを促すダイアログがIn App ReviewというAPIを用いて促すことができます。これはGoogleのGoogle Play In-App Review API にも記載されている方法です。アプリ内部にレビューを促すモノを設置することにより、レビューを改善することができます。この形式でユーザーがモチベーションの上がっているタイミングでダイアログを出すだけでも、レビューは大きく改善される可能性が高まります。

●iOSにおける改善方法


しかし、先述したように、iOSではこの手法は使用できません。理由は、上記の様な好意的なレビューを直接的に誘導する方法は、現在Appleによって禁止されている為です。禁止される行為を行うと、アプリの申請時に次回のアプリバージョンが却下(リジェクト)されるということになります。

ではどうすれば良いのでしょうか?
評価とレビューのリクエストのページに、こう書かれています。

つまり、ネガティブなレビューを減らすことを目的として、フィードバックのできる連絡先をアプリ内に提供することが許可されています。この考え方と、先述の前提知識の考え方を合わせて考えてみると、下記のダイアログは実装可能なのではないかと考えています。
※下記の方法はあくまで可能性の提示であり、この手法を使えば絶対にリジェクトをされないということを私たちが保証するものではありませんのでご留意下さい。

ネガティブな書き込みの対応部分を前提知識項目でお話したモノと同じ方法を取り、レビューへの誘導はしないという形をとります。こうすることによって、ポジティブなレビューの数は積極的に増えませんが、ネガティブなユーザーからのフィードバックは得られ、ネガティブなレビューを書き込む機会が減ります。

また上記のフローで「アプリに満足している」と回答したユーザーのアプリ内での数を把握しておくことによって、社内のマーケティングデータとしても活用が可能です。DAUに対するアプリ内のファンの割合を正確に把握することは、とても重要なことだと考えています。レビューという意味を超えて、ファンマーケティングと言う意味でも、上記施策は行う価値はあると言えます。そして、この特定したファン層をプールした後に、後日その層へ向けてレビューのリクエストを行うと効果はより一層高まるはずです。


上記スキームの検証データ


下記は、2024年10月1日より検証を行った最新データです。★5と★4のレビューの件数が大きく増え、レーティングも大きく改善されました。

これまでレビューを促していなかったため、下記図の様にレビュー件数が急激に増加、更にその質も大きく上昇したという結果が得られました。


その他:レビュー返信による改善


既に書かれてしまったレビューへの返信が有効であることは多くの場所で語られていますが、ここでも改めて記載します。
iOS、androidのコンソール画面には、レビューの返信機能が用意されています。下記Googleの記載からお分かりになるように、レビューが平均0.7ポイント改善されることが記されています。最も簡単で最も有効なレビュー改善方法の一つであると考えています。

以上、今回はアプリレビューのCVRへの影響というテーマについて進めてきましたがいかがだったでしょうか。
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それでは今回のまとめに入らせていただきます!


まとめ

✅★4のレーティングは★3より約2倍高いCVRを示し、4.2以上のレーティングが望ましい
✅トップレビューが★1から★5に変わると、最大で14倍の集客パフォーマンス差が生じる
✅ネガティブなユーザーの意見を適切にフィードバックしてもらう方法が効果的
✅レビューへの返信で評価が平均0.7ポイント改善される

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最後までお読みいただきありがとうございました。
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